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第9回 安全停止は本当に必要? 3分止まる意味を理解しよう

~「5mで3分」の本当の意味とは?~

安全停止は「ルール」ではなく「体を守る時間」

オープンウォーターダイバー講習では、

「水深5mで3分間、安全停止をしましょう。」

と学びます。

多くのダイバーは習慣として行っていますが、

「なぜ3分なの?」

「本当に必要なの?」

と聞かれると、答えられる人は意外と多くありません。

実は安全停止は、

体に溶け込んだ窒素を、より安全に排出するための時間なのです。


ダイビングは水面に出た瞬間には終わっていない

前回までに学んだように、

ダイビング中、体には窒素が溶け込んでいます。

浮上を始めると、

その窒素は

  • 組織
  • 血液

へ、と移動し、

呼吸によって体外へ排出されます。

しかし、

水面へ到着した瞬間に、

すべての窒素が抜けるわけではありません。

実際には、

浮上中も、

水面へ出た後も、

体の中ではオフガスが続いています。


なぜ「5m」なのか?

では、

なぜ安全停止は5m前後で行うのでしょうか。

その理由は、

十分に圧力が下がり、窒素が効率よく排出される一方で、まだ急激な圧力変化を避けられる深さだからです。

もし、

30mから一気に水面まで浮上すると、

周囲圧力は大きく変化します。

その結果、

体の中では気泡ができやすくなります。

しかし、

5m付近で少し時間をかけることで、

体は窒素をより穏やかに排出できます。


なぜ「3分」なのか?

実は、

3分という時間に、

特別な魔法があるわけではありません。

安全停止は、

レジャーダイビングで一般的に行われるダイビングに対して、

効果と実用性のバランスが良い時間

として広く採用されています。

つまり、

「3分止まれば絶対安全」

ではなく、

3分間の余裕を持つことで、体への負担を軽減しよう

という考え方なのです。


安全停止は「減圧停止」とは違う

ここで混同しやすい言葉があります。

安全停止(Safety Stop)

  • レジャーダイビングで推奨される停止
  • ノンデコンプレッションダイビングで行う
  • 行わなくても、すぐに減圧症になるという意味ではない

減圧停止(Decompression Stop)

  • 体内の窒素量から計算された必須停止
  • 行わなければ減圧症リスクが大きく高まる
  • テクニカルダイビングでは必須

この二つは目的も意味も異なります。

しかし、

どちらも共通しているのは、

窒素を安全に排出する時間

ということです。


「今日は安全停止を長めにしよう」

これは、とても良い判断です。

例えば、

  • ダイブコンピュータのNDLぎりぎりだった
  • 流れが強かった
  • 水温が低かった
  • 少し疲れている
  • ダイビング本数が多い

そんな日は、

5分、

あるいはそれ以上停止することで、

より余裕を持った浮上になります。

ダイブコンピュータが「浮上してよい」と表示していても、

体に余裕を持たせることは、

安全性を高める行動の一つです。


安全停止中は何をしていますか?

安全停止は、

ただ止まっているだけではありません。

この時間は、

ダイビングを振り返る時間でもあります。

例えば、

  • 呼吸は落ち着いているか
  • 中性浮力は安定しているか
  • バディは大丈夫か
  • 浮上場所は安全か
  • ボートや船舶はいないか

こうした確認を行うことで、

最後まで安全なダイビングになります。


実は「止まること」より難しいこと

安全停止で苦労するダイバーは少なくありません。

浮いてしまう。

沈んでしまう。

ロープにつかまってしまう。

しかし、

安全停止は、

中性浮力を最も練習できる時間でもあります。

水深5mで静止できるということは、

浮力コントロールが身についている証拠です。

逆に、

安全停止が苦手なら、

まだ浮力コントロールに改善の余地があるということになります。


LOVE&BLUEが考える安全停止

私たちは、

安全停止を

「講習で教わったからやる」

ものではなく、

安全なダイビングを完成させる最後の時間

だと考えています。

慌てて浮上する必要はありません。

最後の3分間を、

呼吸を整え、

浮力を整え、

体を整え、

次のダイビングへつながる時間にしてください。

その積み重ねが、

10年後、20年後も安心してダイビングを楽しめるダイバーを育ててくれます。

次回予告

第10回「飽和潜水とは? なぜ何日も海の中で生活できるのか」

映画やニュースで見かける飽和潜水。

数百メートルの深海で何日も生活し、最後に数日かけて減圧する――。

その仕組みは、実はレジャーダイビングで学ぶ「飽和」の考え方と同じです。

次回は、飽和潜水の仕組みから減圧理論をさらに深く学んでいきます。