~ダイブコンピュータだけでは防げないリスクを知ろう~
「同じダイビングなのに、なぜ減圧症になる人とならない人がいるの?」
同じ日に、
同じボートで、
同じ水深へ潜り、
同じダイブコンピュータを使っていても、
減圧症になる人と、ならない人がいます。
「コンピュータどおりに潜ったのに…」
そんな話を耳にしたことがあるダイバーもいるでしょう。
実は、減圧理論が計算しているのは、
理想的な人体です。
しかし実際の私たちの体は、
毎日同じ状態ではありません。
だからこそ、
ダイブコンピュータでは計算できない「危険因子」を知ることが、安全なダイビングにつながります。
ダイブコンピュータは体調までは分からない
ダイブコンピュータは、
- 水深
- 潜水時間
- 浮上速度
- ガス分圧
などを計算しています。
しかし、
- 昨日よく眠れたか
- 水分が足りているか
- 疲れているか
- 風邪気味か
- ストレスがあるか
までは分かりません。
つまり、
あなたの体調は、あなたしか管理できないのです。
危険因子① 脱水(水分不足)
最も身近で、最も見落とされやすい危険因子が
脱水です。
体内の水分が不足すると、
血液は濃くなり流れが悪くなります。
すると、
窒素を肺まで運び、
体外へ排出する効率も低下します。
さらに、
汗をかきやすい夏場だけでなく、
ドライスーツを着る冬場も脱水は起こりやすくなります。
「喉が渇いた」と感じる頃には、
すでに軽い脱水が始まっていることも少なくありません。
ダイビング前後の十分な水分補給は、減圧症予防の基本です。
危険因子② 寒さ
寒い海では、
体は熱を逃がさないように血管を収縮させます。
すると、
手足などの末梢への血流が少なくなります。
血流が悪くなると、
窒素の排出効率も低下する可能性があります。
そのため、
自分に合った保護スーツを選び、
「少し寒い」ではなく、
快適な保温状態
を維持することが、安全なダイビングにつながります。
危険因子③ 疲労
前日の睡眠不足。
長時間の運転。
仕事の疲れ。
これらも見逃せない危険因子です。
疲労した体は、
普段どおりの働きができません。
ダイビング中も、
呼吸が乱れたり、
余計な力が入ったり、
浮力コントロールが不安定になったりします。
結果として、
体への負担も大きくなります。
危険因子④ 激しい運動
「ダイビング前に体を動かしておこう。」
「潜った後に重たい器材を何度も運ぶ。」
こうした行動も注意が必要です。
ダイビング前後の激しい運動は、
減圧症リスクとの関連が指摘されています。
器材の運搬は避けられませんが、
必要以上に急いだり、
息が切れるような作業を続けたりすることは避けた方がよいでしょう。
危険因子⑤ 年齢や体質
年齢を重ねると、
血管や循環機能などが若い頃と変化していきます。
また、
体脂肪率や筋肉量にも個人差があります。
脂肪組織は、
筋肉より窒素を多く溶かしやすく、
排出にも時間がかかると考えられています。
だからこそ、
他人と比較するのではなく、自分に合ったダイビングをすること
が大切です。
危険因子⑥ 連日のダイビング
リゾートでは、
1日に3〜4ダイブ。
それを数日続けることも珍しくありません。
1本目で吸収した窒素は、
2本目までに完全には抜けません。
その状態でさらに潜ると、
体内には少しずつ窒素が蓄積していきます。
だからこそ、
ダイブコンピュータは、
前日のダイビングまで考慮して計算しているのです。
しかし、
コンピュータ以上に、
自分の疲労度
にも目を向けることが大切です。
危険因子⑦ 「大丈夫だろう」という油断
実は、
一番危険なのは、
この考え方かもしれません。
- 今まで事故がなかった。
- 何百本も潜っている。
- 昨日も同じように潜った。
その経験は大切です。
しかし、
海は毎回違います。
体調も毎日違います。
昨日と同じダイビングでも、
今日の体は昨日とは違うかもしれません。
経験を過信するのではなく、
毎回ゼロから安全を確認する姿勢が大切です。
LOVE&BLUEが考える「減圧症予防」
私たちは、
減圧症予防は、
浮上速度だけではないと考えています。
ダイビング前から、
- 十分な睡眠
- 十分な水分補給
- 体調確認
- 保温対策
- 無理のないダイブプラン
これらすべてが、
一本の安全なダイビングにつながっています。
ダイブコンピュータが計算してくれる安全と、
自分自身で管理する安全。
この二つがそろって初めて、
本当に安全なダイビングになります。
次回予告
第9回「安全停止は本当に必要? 3分止まる意味を理解しよう」
なぜ多くのダイバーは水深5mで3分間停止するのでしょうか。
安全停止は義務なのか、それとも保険なのか。
減圧理論から見た「安全停止の本当の意味」を解説します。
