高濃度ナイトロックスと酸素を、安全に使うための知識と技術を身につける
TDI Advanced Nitrox Diver(アドバンスドナイトロックスダイバー)は、通常のナイトロックスからさらに進み、高濃度酸素を含む呼吸ガスについて学ぶテクニカルダイビングコースです。
TDI Nitrox Diverでは、主に酸素濃度40%までのナイトロックスについて学びます。
Advanced Nitroxではその範囲を広げ、
EAN21から酸素100%まで
の呼吸ガスについて、特徴・限界・器材・酸素曝露・ガス分析・ダイブプランニングなどをより深く学びます。
このコースでは、高濃度酸素を扱うための知識だけではなく、
- 浮力
- トリム
- ガスマネジメント
- チームダイビング
- 器材操作
- トラブルへの対応
- アウェアネス
など、テクニカルダイビングへ進むために必要となる水中スキルもトレーニングします。
「高濃度の酸素を使えるようになること」だけではなく、「そのガスをなぜ、いつ、どのように使うのかを理解すること」
がこのコースの重要な目的です。
こんな方におすすめ
- TDI Nitrox Diverからステップアップしたい
- 酸素濃度40%を超えるナイトロックスについて学びたい
- 酸素100%までの呼吸ガスについて理解したい
- 高濃度酸素を扱う際のリスクを理解したい
- テクニカルダイビングへ進みたい
- 減圧ダイビングを学びたい
- Decompression Proceduresへ進みたい
- ガスマネジメントをより深く学びたい
- 浮力・トリム・チームダイビングを安定させたい
- 将来CCRやより高度なテクニカルダイビングへ進みたい
Advanced Nitroxは、TDIテクニカルダイビング教育の重要な基礎となるコースです。
特にDecompression Proceduresと組み合わせることで、計画的な減圧ダイビングへ進むための知識と技術を体系的に学ぶことができます。
Advanced Nitroxとは?
ナイトロックスとは、一般的な空気よりも酸素濃度を高くした呼吸ガスです。
TDI Nitrox Diverでは、ナイトロックスを安全に使用するための基本として、
- 酸素分圧
- MOD
- 酸素曝露
- ガス分析
- ダイブコンピュータの設定
などを学びます。
Advanced Nitroxでは、その知識をさらに発展させます。
酸素濃度が高くなるほど、窒素の割合は低くなります。
しかしその一方で、酸素分圧や酸素曝露の管理はより重要になります。
つまり、
「酸素が多いほど安全になる」わけではありません。
使用するガスの酸素濃度によって、
- 使用できる深度
- 酸素への曝露
- 必要な器材
- ガス分析
- ガスの取り扱い
- ダイブプラン
が変わります。
Advanced Nitroxでは、それらを理解したうえで、高濃度酸素を含む呼吸ガスを安全に使用するための知識と技術を学びます。
このコースで使用するガス
TDI Advanced Nitrox Diverでは、
EAN21から酸素100%まで
の呼吸ガスについて学びます。
ただし、この認定によって好きな深度で自由に高濃度酸素を使用できるわけではありません。
使用するガスには、それぞれ酸素分圧によって決まる使用可能深度があります。
例えば、酸素濃度が高くなるほどMODは浅くなります。
そのため、
「どのガスを使うか」だけではなく、「そのガスをどの深度で使うのか」
を正確に理解する必要があります。
最大深度について
TDI Advanced Nitrox Diverでは、トレーニングダイビングの最大深度は40mです。
ただし、実際に潜ることのできる深度は、現在保有している認定資格の範囲を超えるものではありません。
また、このコースは計画的な段階減圧を行うコースではありません。
Advanced Nitrox単独では、ノーストップダイビングの範囲内で行います。
計画的な減圧停止を伴うダイビングを行うためには、TDI Decompression Proceduresなど、別のトレーニングが必要です。
このコースで学ぶこと
TDI Advanced Nitrox Diverでは、高濃度酸素を安全に使用するために必要となる知識を、学科・ランドドリル・水中トレーニングを通して学びます。
物理学
ダイビングに必要となる圧力とガスの基本を復習しながら、高濃度酸素を含む呼吸ガスを使用するときにどのような影響があるのかを理解します。
深度が変わることで、
- 酸素分圧
- 窒素分圧
- ガス密度
- ガス消費量
などがどのように変化するのかを考えます。
生理学
Advanced Nitroxでは、呼吸ガスが身体へ与える影響についてさらに詳しく学びます。
主に、
- 低酸素症
- CNS酸素中毒
- 全身酸素中毒
- OTU
- 窒素ナルコシス
- 窒素の吸収と排出
- 二酸化炭素
- 一酸化炭素
などについて学びます。
特に重要になるのが、酸素曝露の管理です。
高濃度酸素を使用する場合、単にMODを超えなければよいわけではありません。
ダイビング中にどれだけ酸素へ曝露するのかを把握し、計画する必要があります。
MODとベストミックス
使用するガスの酸素濃度から、MOD(最大行動深度)を計算します。
また、予定している深度から、目的に適した酸素濃度を考えるベストミックスについても学びます。
重要なのは、計算式を覚えることではありません。
「なぜこのガスをこの深度で使うのか」
を理解し、自分で判断できることを目指します。
酸素曝露
高濃度酸素を使用するうえで重要になるのが、酸素への曝露です。
講習では、
- PO2
- CNS酸素曝露
- 累積酸素曝露
- OTU
などについて学びます。
複数回のダイビングを行う場合は、一回のダイビングだけではなく、累積した酸素曝露についても考えます。
器材について
高濃度酸素を使用する場合、通常の空気や低濃度ナイトロックスと同じ考え方で器材を使用できるとは限りません。
特に酸素濃度が高くなる場合には、
- シリンダー
- バルブ
- レギュレーター
- Oリング
- 潤滑剤
- 酸素クリーニング
- 酸素サービス
などについて正しく理解する必要があります。
Advanced Nitroxでは、酸素濃度40%以下のガスと、40%を超える高濃度酸素を扱う場合の器材上の違いや注意点について学びます。
ガス分析
使用するガスは、ダイバー自身が確認します。
講習では酸素アナライザーを使用し、
- アナライザーのキャリブレーション
- 酸素濃度の測定
- MODの確認
- シリンダーのラベリング
- 分析結果の記録
などを実践します。
高濃度酸素を使用するテクニカルダイビングでは、
「注文したガスだから正しいはず」ではなく、「自分が呼吸するガスは自分で確認する」
ことが重要です。
ガスブレンディングについて
Advanced Nitrox Diverは、ガスブレンダーを養成するコースではありません。
しかし、自分が使用するナイトロックスがどのように作られているのかを理解するため、一般的なガスブレンディング方法について学びます。
例えば、
- 分圧ブレンディング
- 連続フローブレンディング
- メンブレンシステム
などがあります。
ガスを「作れるようになる」ことではなく、
自分が使用する呼吸ガスについて理解すること
が目的です。
実際にガスを製造するための専門的なトレーニングについては、TDI Gas Blenderコースがあります。
ダイブプランニング
Advanced Nitroxでは、使用するガスだけではなく、ダイビング全体を計画します。
主に、
- 最大深度
- ボトムタイム
- ガス消費量
- ガス量
- 酸素分圧
- MOD
- 酸素曝露
- 窒素への曝露
- 予備ガス
- チームのガスマネジメント
- 海況や環境条件
などを考慮してダイブプランを作ります。
テクニカルダイビングでは、
「コンピュータが教えてくれるから潜る」のではなく、潜る前に自分たちでダイビングを考える
ことが重要になります。
減圧について
Advanced Nitroxでは、高濃度ナイトロックスや酸素が減圧にどのように利用されるのかについても学びます。
例えば、
- ナイトロックスを減圧ガスとして使用する考え方
- 酸素を減圧に使用する考え方
- 複数の呼吸ガスを使用するメリットとリスク
- ガススイッチ時の注意点
などです。
ただし、
TDI Advanced Nitrox Diver単独では、計画的な減圧ダイビングを行うことはできません。
実際に段階減圧を伴うダイビングを行うためには、TDI Decompression Proceduresなどの認定が必要です。
ランドドリル
水中へ入る前に、陸上でガス・器材・手順・ダイブプランを確認します。
ナイトロックスの基本確認
Nitrox Diverで学んだ酸素分圧、MOD、ガス分析などを復習します。
酸素アナライザー
酸素アナライザーのキャリブレーションを行い、自分が使用するガスの酸素濃度を分析します。
ガスラベリング
分析したガスについて、
- 酸素濃度
- MOD
- 分析日時
- 使用者
などを確認し、適切に管理します。
潜水計画
ガス消費量、酸素曝露、窒素への曝露などを考慮し、安全に実施できるダイブプランを作ります。
ダイブコンピュータ
使用するガスの酸素濃度を正しく設定し、ダイビング前に確認します。
水中で身につけるスキル
Advanced Nitroxでは、ガスについて理解するだけではありません。
高濃度酸素を扱うテクニカルダイビングへ進むために必要となる基本的な水中スキルもトレーニングします。
重要なのは、
スキルを行っている間も、浮力・トリム・チーム・周囲へのアウェアネスを失わないこと。
です。
浮力コントロール
手やフィンを動かし続けることなく、中性浮力で安定してホバリングします。
器材操作やガス確認をしているときにも、深度を安定して維持できることを目指します。
トリム
水中で水平を基本とした安定した姿勢を維持します。
トリムは見た目のためではありません。
- フィンワーク
- ガス消費
- 器材操作
- チームダイビング
- 環境への影響
などにも関係する重要な基本スキルです。
チームダイビングとアウェアネス
テクニカルダイビングでは、自分だけを見るのではなく、チーム全体を把握する必要があります。
- バディの位置
- チームメンバー
- 深度
- ガス
- 時間
- 器材
- 周囲の環境
などを継続的に確認します。
一つの操作に集中したときに、他の情報が見えなくならないことを意識してトレーニングします。
レギュレーターのトラブル対応
レギュレーターのフリーフローなど、ガス供給に関するトラブルを想定した対応を練習します。
使用している器材構成に応じて、
- 問題の判断
- バックアップレギュレーターへの切り替え
- 必要なバルブ操作
- チームへのコミュニケーション
などを行います。
操作中も浮力とトリムを維持することが重要です。
ガスシェア
ガス切れなどの緊急事態を想定し、バディとのガスシェアを練習します。
ガスを受け取る側だけではなく、提供する側の役割も経験します。
中性浮力とトリムを維持しながら、チームとして安全に対応することを目指します。
安全停止
中性浮力を維持した状態で、計画した深度と時間で安全停止を行います。
ロープや水底に頼らず、チームとして深度を管理することを意識します。
ストレスへの対応
テクニカルダイビングでは、自分自身やバディのストレスに早く気づくことも重要です。
呼吸、行動、姿勢、反応などから、
「いつもと何か違う」
という変化を察知できることが、トラブルを大きくしないための第一歩になります。
この講習の目的
Advanced Nitroxの目的は、
「酸素100%を使えるようになること」だけではありません。
高濃度酸素を使用するためには、
- ガスを理解する
- ガスを分析する
- MODを確認する
- 酸素曝露を管理する
- 適切な器材を使用する
- ダイビングを計画する
- 水中で安定して行動する
- チームで問題に対応する
という複数の要素を同時に考える必要があります。
Advanced Nitroxは、
「呼吸ガスを自分で理解し、計画し、管理するダイバーになる」
ための重要なステップです。
参加条件
TDI Advanced Nitrox Diverを受講するための基本的な条件は次のとおりです。
- 18歳以上
- 15歳以上18歳未満の場合は保護者の同意が必要
- TDI Nitrox Diver、またはTDIが認める同等資格以上
- 25本以上のログダイブ
また、水中でさまざまな器材操作やトラブル対応を行うため、基本的な浮力・トリム・ガスマネジメントができていることが重要です。
現在のスキルに不安がある場合は、事前にIntro to Techなどのトレーニングをご案内する場合があります。
海洋実習
LOVE & BLUEでは、TDI Advanced Nitrox Diverの海洋実習を最短3日で開催しています。
海洋実習では、
- ガス分析
- ダイブプランニング
- ガスマネジメント
- 浮力
- トリム
- チームダイビング
- レギュレータートラブルへの対応
- ガスシェア
- 安全停止
- アウェアネス
- ストレスへの対応
などを組み合わせながら実践的にトレーニングします。
単に個々のスキルが一度できることではなく、
ダイビング全体を通して安定して実施できること
を目指します。
講習料金
TDI Advanced Nitrox Diver
講習申込料 132,000円
別途、
- 教材代
- 海洋講習費
- 必要な呼吸ガス代
が必要となります。
海洋実習:最短3日
海洋実習費:22,000円/日
LOVE & BLUEのフィールドで開催する場合、エアー代は無料です。
他のTDIコースと組み合わせて受講する場合、セット講習割引があります。
詳しい料金・日程についてはお問い合わせください。
Decompression Proceduresとのセット受講
TDI Advanced Nitroxは、TDI Decompression Proceduresと組み合わせて受講することができます。
Advanced Nitroxでは、
「高濃度酸素を含む呼吸ガスについて学ぶ」
Decompression Proceduresでは、
「計画的な減圧停止を行う方法について学ぶ」
という、それぞれ異なる役割があります。
この2つを組み合わせることで、
- 高濃度ナイトロックス
- 酸素
- デコガス
- ガススイッチ
- ガスマネジメント
- 減圧計画
- 実際の減圧停止
などを体系的に学ぶことができます。
これから本格的な減圧ダイビングを始めたい方には、セット受講もおすすめしています。
[TDI Decompression Procedures Diverを見る]
認定について
講習日数を終了すれば、自動的に認定されるものではありません。
TDI Advanced Nitrox Diverとして必要となる知識と技術を理解し、認定基準を満たす必要があります。
主な修了条件として、
- TDI Advanced Nitroxの学科試験に合格する
- 必要なオープンウォータートレーニングを安全かつ適切に実施する
- 高濃度ナイトロックスを正しく分析・管理できる
- 酸素曝露を理解し管理できる
- 適切なダイブプランを作成できる
- 浮力とトリムを維持できる
- チームとして適切に行動できる
- トラブルへ適切に対応できる
- ダイブプランニングと実施において適切な判断ができる
ことなどがあります。
LOVE & BLUEでは、
「手順を覚えること」より、「なぜその手順が必要なのかを理解すること」
を大切にしています。
認定後にできること
TDI Advanced Nitrox Diver認定後は、
EAN21から酸素100%まで
の呼吸ガスについて、トレーニングを受けた活動・環境条件に近い範囲で使用するための知識と技術が身につきます。
ただし、
- 現在保有している認定レベル
- 最大40m
- ノーストップダイビング
という範囲を超えるものではありません。
Advanced Nitroxの認定だけでは、計画的な減圧ダイビングを行うことはできません。
減圧ダイビングへ進む場合は、Decompression Proceduresなどの追加トレーニングが必要です。
次のステップへ
Advanced Nitroxで高濃度酸素について理解したら、目的に応じてさらに次のテクニカルダイビングへ進むことができます。
減圧ダイビングへ
TDI Decompression Procedures Diver
計画的な段階減圧を伴うダイビングについて学びます。
Advanced Nitroxと組み合わせて受講することで、高濃度酸素を含むデコガスの使用と減圧手順を体系的に学ぶことができます。
[TDI Decompression Procedures Diverを見る]
ヘリウムを使用するダイビングへ
TDI Helitrox Diver
さらに深い水深で問題となる窒素ナルコシスなどを考慮し、ヘリウムを含む呼吸ガスについて学びます。
より高度なテクニカルダイビングへ
TDI Extended Range Diver
より深い領域でのガスマネジメント、減圧、ダイブプランニング、緊急時対応などを学びます。
TDI Advanced Nitrox Diverについてお問い合わせ
「Advanced NitroxとDecompression Proceduresを一緒に受けたい」
「自分のスキルで受講できる?」
「Intro to Techを先に受けた方がいい?」
「将来ヘリウムを使ったダイビングへ進みたい」
「サイドマウントで受講したい」
など、まだ具体的なトレーニングプランが決まっていなくても構いません。
現在の認定資格、ダイビング経験、使用している器材、そしてこれからやってみたいダイビングをお知らせください。
目標に合わせたテクニカルダイビングのトレーニングプランをご案内します。