ナイトロックスを安全かつ正確に製造するために
TDI Nitrox Gas Blender(ナイトロックス ガスブレンダー)は、ナイトロックスなどの呼吸ガスを安全かつ正確に製造するために必要となる知識と技術を学ぶ専門プログラムです。
ナイトロックスは、空気より酸素濃度を高くした呼吸ガスです。
ダイバーが安全に使用するためには、目的とする酸素濃度に正確に調整し、完成したガスを分析し、適切に表示・記録する必要があります。
このコースでは、
- 酸素の取り扱い
- ガスブレンディングの計算
- ナイトロックスの製造方法
- 充填設備
- 酸素分析
- MOD
- ラベリング
- 記録管理
などについて学び、
「ナイトロックスがどのように作られ、どのように安全性と品質が確認されているのか」
を実際のブレンディングを通して理解します。
このプログラムは水中で行うダイバーコースではありません。
ダイビングショップ、潜水会社、作業潜水などで呼吸ガスを扱う方にも役立つガス関連のノンダイビングプログラムです。
こんな方におすすめ
- ダイビングショップでナイトロックス充填を担当している
- ナイトロックスの製造方法を専門的に学びたい
- ガス充填設備を扱っている
- ダイビングショップスタッフ・インストラクター
- テクニカルダイビングに携わっている
- ナイトロックスを使用するダイバー
- 作業潜水・業務潜水に従事している
- 潜水会社で呼吸ガスの準備・充填・分析・管理に関わっている
- 高圧ガス設備について理解を深めたい
- 将来的にTrimixなどのブレンディングを学びたい
- ガスブレンディングを基礎から体系的に学びたい
実際にガスを製造する方だけではなく、
自分が呼吸しているナイトロックスが、どのように作られ、分析・管理されているのかを理解したいダイバー
にもおすすめです。
Nitrox Gas Blenderとは?
ナイトロックスとは、一般的に空気より酸素濃度の高い呼吸ガスです。
例えば、
EAN32
であれば、酸素濃度約32%のナイトロックスを意味します。
しかし、32%のナイトロックスが必要だからといって、単純に酸素を加えればよいわけではありません。
ガスブレンダーは、
- 現在シリンダーに入っているガス
- 残圧
- 目標酸素濃度
- 最終充填圧力
- 使用するブレンディング方法
などを確認し、必要となるガス量を計算します。
そして完成後には、
実際の酸素濃度を分析して確認します。
Gas Blenderは、単に「ガスを入れる人」ではなく、
目的とする呼吸ガスを、安全かつ正確に製造・確認・管理するための知識と技術を持つ人
です。
なぜガスブレンディングを学ぶのか?
ダイバーが使用する呼吸ガスは、安全なダイビングの土台です。
例えばダイバーがEAN32として計画しているにもかかわらず、実際には異なる酸素濃度のガスが入っていた場合、
- MOD
- 酸素分圧
- 酸素曝露
- 無減圧限界
- ダイブプラン
などに影響する可能性があります。
だからこそ、
「たぶん32%」ではなく、正確に製造し、分析して確認する
ことが重要です。
このコースで学ぶこと
TDI Nitrox Gas Blenderでは、高品質なナイトロックスを安全かつ正確に製造するために必要となる知識と技術を学びます。
ガスブレンダーの責任
ガスブレンダーが製造したガスを呼吸するのは、自分とは限りません。
そのガスを使用するダイバーや潜水作業者は、
適切に製造された呼吸ガスであることを前提として潜水計画を立てます。
そのため、
- 注文内容を確認する
- 正確に計算する
- 適切な手順で充填する
- 分析する
- ラベリングする
- 記録する
- 使用者に確認してもらう
という一連のプロセスが重要です。
ダイビングで使用するガス
講習では、まずダイビングで使用するガスについて理解します。
主に、
- Oxygen
- Nitrogen
- Air
- Nitrox
について、それぞれの特徴と役割を学びます。
単に「酸素濃度を高くしたものがナイトロックス」と覚えるのではなく、
酸素濃度が変わることでダイビングに何が起こるのか
を理解します。
酸素の取り扱い
Gas Blenderで特に重要になるのが、酸素の取り扱いです。
酸素そのものが燃えるわけではありませんが、燃焼を強く促進します。
特に、
- 高濃度酸素
- 高圧
- 急速な加圧
- 油脂
- 汚染物質
- 不適切な材料
などが組み合わさることで、火災などのリスクが高くなる可能性があります。
そのため講習では、
- 酸素の特性
- 酸素火災
- 発火要因
- 酸素適合材料
- 汚染
- 酸素サービス
- 安全な取り扱い
などについて学びます。
ナイトロックスのブレンディング方法
ナイトロックスを作る方法は一つではありません。
設備や目的によって、さまざまな方法があります。
例えば、
- 分圧ブレンディング
- 連続フロー
- メンブレン
- プレミックス
などがあります。
それぞれ、
- 設備
- 酸素濃度
- 作業方法
- 酸素サービス
- 安全管理
などに違いがあります。
重要なのは、
「自分の設備でどの方法を使っているのか」を理解すること
です。
分圧ブレンディング
代表的な方法の一つが、分圧ブレンディングです。
目的とする酸素濃度になるよう計算し、酸素などをシリンダーへ充填した後、エアなどで目的の圧力までトップアップします。
高濃度酸素を扱うため、
酸素の取り扱いと器材のO2サービスについて正しく理解していること
が重要になります。
ガスブレンディングの計算
Gas Blenderでは、目的とするナイトロックスを作るための計算を行います。
例えば、
EAN32を200bar作る
場合、
現在のシリンダーの状態を確認して、
- 酸素をどれだけ入れるのか
- エアをどれだけ入れるのか
- 最終的に何%になるのか
を計算します。
単に公式を暗記するのではなく、
シリンダーの中でガスの割合がどのように変化するのか
を理解することが重要です。
残圧がある場合のブレンディング
実際の充填では、シリンダーが必ず空とは限りません。
例えば、
EAN32が50bar残っているシリンダーを再充填する
といったケースがあります。
この場合、残っているガスを無視することはできません。
- 残圧
- 現在の酸素濃度
- 目標酸素濃度
- 最終圧力
を考えて、追加するガスを計算します。
このような実際の充填業務で必要となる考え方についても学びます。
エア充填・ガス製造設備
ガスブレンダーは、ガスだけでなく設備についても理解する必要があります。
講習では、
- 高圧コンプレッサー
- フィルトレーション
- 酸素供給
- シリンダー
- バルブ
- ゲージ
- 充填ホース
- 充填パネル
などについて学びます。
重要なのは、
バルブの操作方法だけを覚えるのではなく、設備の中でガスがどのように流れているのかを理解すること
です。
圧力と温度
ガスを充填すると、シリンダーの温度が上昇します。
温度が変化すれば圧力も変化します。
そのため、
「充填直後は200barだったのに、冷えたら圧力が下がった」
ということが起こります。
Gas Blenderでは、
圧力・温度・ガス量の関係
についても理解します。
酸素分析
ナイトロックスを作ったら、完成したガスを分析します。
「計算上32%になるはず」
だけでは十分ではありません。
酸素アナライザーを使用して、
実際に何%の酸素が入っているのか
を確認します。
講習では、
- 酸素アナライザー
- キャリブレーション
- 測定方法
- ガス流量
- 測定値の確認
などについて学びます。
MOD
ナイトロックスでは、酸素濃度によって使用できる最大深度が変わります。
これが、
MOD(Maximum Operating Depth/最大使用深度)
です。
酸素濃度が高くなれば、酸素分圧の上限に達する深度は浅くなります。
ガスブレンダーは、
作ったガスがどの深度まで使用できるのか
についても理解する必要があります。
ガス分析はダブルチェック
ガスブレンダーが分析したからといって、それだけで終わりではありません。
最終的には、
そのガスを使用するダイバー自身が分析する
ことも重要です。
ガスブレンダーが確認する。
ダイバーが確認する。
複数のチェックポイントを設けることで、間違いを発見できる可能性を高めます。
シリンダーのラベリング
完成したガスには、適切な表示を行います。
例えば、
- 酸素濃度
- MOD
- 分析日時
- 分析者
- 使用者
などです。
何が入っているのか分からないシリンダーを作らないこと
は、ガス管理の基本です。
記録管理
ガスブレンディングでは、充填記録を残します。
- シリンダー
- 酸素濃度
- MOD
- 充填圧力
- 日時
- ブレンダー
- 使用者
などを記録します。
記録を残すことは、
- トレーサビリティ
- 品質管理
- トラブル時の確認
- ガス管理
にもつながります。
作業潜水とガスブレンディング
ナイトロックスなどの呼吸ガスは、レクリエーショナルダイビングやテクニカルダイビングだけのものとは限りません。
潜水方式や作業内容によっては、作業潜水でも呼吸ガスの準備・分析・管理について理解することが重要になります。
潜水業務では、実際に潜る人だけではなく、
- ガスを準備する担当者
- 充填設備を管理する担当者
- シリンダーを管理する担当者
- 潜水監督者
- 水面サポート
など、複数の人が呼吸ガス管理に関わる場合があります。
Gas Blenderで学ぶ、
計算 → 充填 → 分析 → ラベリング → 記録
という一連の考え方は、呼吸ガスを適切に管理するうえでも役立ちます。
※実際の作業潜水で必要となる資格・設備・運用については、使用する潜水方式、業務内容、国内法令、事業者の規定等に従う必要があります。
実技トレーニング
TDI Nitrox Gas Blenderは、学科だけのプログラムではありません。
実際にナイトロックスをブレンディングし、
計算 → 充填 → 分析 → ラベリング → 記録
という一連の作業を行います。
認定要件として、受講者は実際に複数のナイトロックスシリンダーについて、適切なブレンディング・分析・記録を行います。
単に作業手順を見学するのではなく、
自分自身で安全かつ正確にガスを製造できること
を目指します。
参加条件
TDI Nitrox Gas Blenderを受講するための基本的な条件は、
18歳以上
です。
ダイビングショップスタッフ、インストラクター、テクニカルダイバー、作業潜水関係者など、目的に応じて受講していただけます。
講習料金
TDI Nitrox Gas Blender
講習申込料 143,000円
別途、
- 教材代
- 実習に使用する酸素代
- その他必要となるガス代
が必要です。
実習内容や使用するガス量によって費用が変わる場合があります。
詳しい料金・開催日程についてはお問い合わせください。
認定について
講習を受講すれば自動的に認定されるものではありません。
TDI Nitrox Gas Blenderとして必要となる知識と技術を理解し、認定基準を満たす必要があります。
主に、
- ナイトロックスブレンディングを安全に実施できる
- 必要なブレンディング計算ができる
- 酸素を適切に取り扱える
- 酸素分析を適切に行える
- ナイトロックスシリンダーを適切にブレンド・分析できる
- 目標とする酸素濃度に適切に調整できる
- MOD・酸素濃度等を適切に記録できる
- 学科試験に合格する
ことなどが求められます。
重要なのは、
「計算ができること」だけではなく、実際の設備を使用して安全かつ正確にガスを作れること
です。
認定後について
認定後は、TDI Nitrox Gas Blenderとして学んだ知識と技術を活用し、ナイトロックスのブレンディングを行うことができます。
ただし、
Gas Blender認定だけで、あらゆる充填設備を自由に操作できるという意味ではありません。
設備によって、
- コンプレッサー
- 酸素供給システム
- バルブ
- 充填パネル
- ブレンディング方式
- 管理方法
などが異なります。
新しい設備を使用する場合は、その設備固有の構造・操作方法・安全手順を確認する必要があります。
また、日本国内で業務として高圧ガスを取り扱う場合は、関係法令や施設の運用基準等に従う必要があります。
Advanced Gas Blenderとの違い
Gas Blenderの次のステップとなるのが、
TDI Advanced Gas Blender
です。
TDI Nitrox Gas Blender
主に、
酸素+窒素
を扱い、ナイトロックスのブレンディングについて学びます。
TDI Advanced Gas Blender
さらに、
酸素+窒素+ヘリウム
を扱い、Trimixなどの高度な混合ガスについて学びます。
将来的に、
- Helitrox
- Trimix
- Heliox
- ヘリウムを使用するガス
を扱いたい方は、Advanced Gas Blenderへステップアップできます。
O2 Service Technicianとの関係
高濃度酸素を使用するブレンディングでは、
酸素に接する器材が適切な状態であること
も重要です。
TDI Equipment O2 Service Technicianでは、
- 酸素クリーニング
- 酸素適合材料
- Oリング
- 潤滑剤
- 汚染管理
- 器材整備
などについて学びます。
Nitrox Gas Blender
ガスを作る技術
O2 Service Technician
そのガスを扱う器材を適切に準備する技術
という違いがあります。
両方を理解することで、ナイトロックスの製造設備と器材をより総合的に理解できます。
[TDI Equipment O2 Service Technicianを見る]
Visual Inspection Proceduresとの関係
ガスブレンダーが扱うシリンダーそのものについて、さらに詳しく学ぶプログラムが、
SDI/TDI Visual Inspection Procedures
です。
- シリンダーの構造
- 内部・外部検査
- 腐食
- 欠陥
- バルブ
- 高圧シリンダーの管理
などについて学びます。
ガスを作るだけではなく、
そのガスを入れるシリンダーについても理解したい方
におすすめです。
[SDI/TDI Visual Inspection Proceduresを見る]
高品質なナイトロックスを作るということ
ガスブレンディングで大切なのは、
「酸素を混ぜること」ではありません。
目的とするガスを、
安全に、正確に、再現性を持って作ること
です。
そして、
計算 → 充填 → 分析 → ラベリング → 記録
までが一つの作業です。
ダイバーや潜水作業者が安心して呼吸できるガスを作る。
それがGas Blenderの役割です。
次のステップへ
ヘリウムを含むガスを学ぶ
TDI Advanced Gas Blender
Trimixなど、ヘリウムを含む高度な混合ガスの製造について学びます。
酸素サービスを学ぶ
TDI Equipment O2 Service Technician
高濃度酸素を扱うレギュレーター、シリンダー、バルブなどの酸素サービスについて学びます。
[TDI Equipment O2 Service Technicianを見る]
シリンダー検査を学ぶ
SDI/TDI Visual Inspection Procedures
高圧スクーバシリンダーの内部・外部検査、欠陥、バルブ、管理について学びます。
[SDI/TDI Visual Inspection Proceduresを見る]
TDI Nitrox Gas Blenderについてお問い合わせ
「ナイトロックスの作り方を学びたい」
「ダイビングショップでガス充填を担当したい」
「作業潜水で呼吸ガスの管理に関わっている」
「自社でナイトロックス充填を始めたい」
「Advanced Gas Blenderまで受講したい」
「O2 Service Technicianと一緒に学びたい」
「シリンダー検査についても学びたい」
など、目的によって必要となるトレーニングは変わります。
現在の業務内容、保有資格、使用している設備、これから扱いたいガスなどをお知らせください。
目的に合わせたGas Blenderプログラムをご案内します。